■日時
2016年8月20日(土)、21日(日)
■場所
那珂川(栃木県)
■主催
株式会社 シマノ
■後援
栃木県大田原市、大田原市観光協会、那珂川北部漁業協同組合
■天候
土曜:雨のち曇り時々晴れ、 日曜:晴れ
■水況
土日ともに約30cm高でササ濁り
2016年8月20日(土)、21日(日)に「2016シマノ・ジャパンカップ鮎釣り選手権全国大会」を栃木県那珂川で開催いたしました。
1985年から始まったジャパンカップ鮎は今年で32回目。
出場選手は、昨年度全国大会上位入賞者3名のシード選手と、全国で行なわれた地区大会を勝ち上がり、セミファイナル(東日本、中日本、西日本)大会をも勝ち抜いた17名、インストラクター選抜戦の上位4名を合わせた、総勢24名の精鋭達。
決戦の舞台は栃木県那珂川。
全国大会では初となる会場です。
当たりの強い天然アユが釣れることで関東屈指の名川と謳われる那珂川ですが、ここ数年は目立った全国規模の大会が催されておらず、久しぶりのビッグイベントに地元を上げて選手たちを歓迎していただきました。
今期の那珂川は例年より多くの天然アユが遡上し、豊富な魚影に沸いたものの、解禁からの渇水でタフコンディションが続いていました。
それが大会前に襲来した台風の影響で増水。
これにより腐りアカが一掃され、地元スタッフは「今シーズン一番よい川になった」と言い、下見で何度も訪れていた選手からは「一週間前とは別の川」との声も聞かれました。
大会前日には濁りも薄らぎ水況は落ち着きます。
出水の引き際で残りアカねらい。
となれば活性の高いアユが釣れる最高の舞台。
選手スタッフともに喜んでいたところ、大会前夜に新たに3つの台風が発生。
シマノは最悪の事態に備えて新たなエリアを検討し、いくつもの運営プランを練り準備を進めました。
参加選手も刻々と変わる水況に合わせてどのように釣りを組み立てられるかと心構えは万全です。
そして迎えた大会初日。
大粒の雨がざっと降ったかと思えば青空が顔を出して気温が急激に上がるなど、極めて不安定な天候。
そのような状況の中で行なわれた初日の予選4試合で、総合トップに躍り出たのは上田 弘幸選手(愛知県豊川市/中日本1位)。
出色は3試合目。
永昌橋下流の膝下程度のザラ瀬にねらいを絞ると怒涛の入れ掛かりを演じ、オトリ込みの14尾。
2位に7尾もの大差を付けて占有率を上げます。
低く構えた下ザオ気味の角度で小刻みに穂先を上下させ、オトリをジワリジワリ横に払うように操作するとハマったというパターンと、卓越した川読みで4戦のうちトップ2回、そのほか2位3位と勝ち点を重ねます。
2位につけた椿 隆明選手(愛知県豊田市/中日本3位)は今大会が全国大会初出場。
愛知県矢作川をホームにし昨年度の覇者、小澤 剛選手とも切磋琢磨してきた手練。
小澤選手に影響を受けた背バリ使いの引き釣りは丁寧かつ繊細です。
「好みの流れでよう掛けました」と言うように、まるで吸い込まれるようにアユの付き場を捜し当て勝ポイントは上田選手と同じ21.5。
初日3位は那珂川の名手として広く知られる岡崎 孝選手(栃木県/那須郡)。
小さなオモリとウレタン背バリでオトリをピンに留めて横ブレさせる誘いを駆使し、第3試合・第4試合はブロックトップで勝ち上がります。
2連覇を目指す大注目の小澤 剛選手は5位。
第3試合の低釣果が響きましたが、残り2試合で巻き返す可能性は充分にあります。
2日目。
不穏な3つの台風によって試合続行が危ぶまれましたが、夜明けの空は快晴で18時まで雨マークもなしと大会日和に恵まれます。
そして予選第5試合・第6試合と熾烈な星の潰し合いがスタート。
中でも上田、椿、小澤、そして松田 克久選手(群馬県高崎市/シード全国3位)、島 啓悟選手(岐阜県美濃市/インストラクター選抜2位)、大野 幸彦選手(栃木県那須塩原市/東日本4位)と強豪が揃う激戦区が、第5試合A、第6試合Bのブロック。
第5試合で意地を見せたのが島選手です。
オトリが天然に変わってからの入れ掛かりはすさまじく10尾を釣りあげてブロックトップ。
総合順位を11位から4位まで急浮上させました。
この第5試合で上田選手はブロック最低釣果で総合3位に落ち。
椿選手が総合トップに踊り出ます。
そして、総合2位は安定してブロック戦上位をキープする岡崎選手。
この上位3名にくらいつくのが小澤、島、君野 貴文選手(鳥取県八頭郡/インスト選抜)で4位タイ。
いよいよ最後の第6試合。
上位陣は誰にも決勝進出のチャンスがあります。
各ブロックで検量が行なわれるのですが、選手にはそのブロック内での勝敗は分かっても、他ブロックの成績は本部でしか分からず、本部に送迎される各選手の心境は計り知れない緊張と不安があろうかと察します。
結果は第5・第6試合ともに3位となった椿 隆明選手が勝ポイント29で総合トップ。
岡崎 孝選手は勝ポイント28で総合2位。
激戦区のBブロックで底力を発揮した小澤 剛選手が勝ポイント27で総合3位。
「1試合1試合つまらんミスばかりでヨレヨレでしたが、なんとか決勝まで勝ち上がりました」
と笑顔で語り気力充分。
小澤選手は明るく挫けず今大会のムードメーカーにもなっています。
天候が崩れることとの懸念し、時間を繰り上げて決勝をスタート。
檜舞台は本部前の通称「町裏」。
チャラありトロあり荒瀬ありと変化に富んでギャラリーも見やすい大会メッカです。
上流から約300m間隔でABCのエリアが設置され、各選手は3エリアを40分ごとに3ラウンド釣ります。
AからスタートすればA⇒B⇒C、BからだとB⇒C⇒Aになり、CからAには大きく移動しなければなりません。
移動のインターバルは5分。
入川の選択権は予選リーグの上位順です。
椿選手がAを選択し、岡崎選手がB、小澤選手がCと分かれると11時30分に決勝開始のホーンが響き渡りました。
Cは小澤選手好みの瀬が連続するエリア。
まずは右岸の瀬にねらいを絞ってオトリを通すと開始2分で1尾目、10分間に3尾のハイペースで掛けますが、バラシもあり失速。
アタリが遠くなったところで中州を横切り左岸の浅瀬を釣るとさらに3尾。
スタートダッシュを決めます。
エリアBの岡崎選手は太い絞り込みから続く瀬落ちをねらいます。
得意のオモリ+背バリ使いで3尾をキャッチしますが、開始から30分を過ぎると後が続きません。
Aに入った椿選手は瀬肩付近を広く探ってみたものの反応を得られず。
小型が1尾掛かったのみで第1ラウンド終了。
5分のインターバルを置き、各選手は次のブロックへ移動します。
椿選手は第1ラウンドを最上流のAブロックにいたことから、下流の2選手がどこを釣ったかが把握しやすい。
岡崎選手の攻めていなかったトロ瀬にねらいを絞り2尾掛けます。
しかし以降はさっぱり。
小澤選手はAに入ってからも2尾を追加しオトリ込みの10尾。
岡崎選手はエリアCに移って20分後に3尾立て続けに掛けて終了間際にも1尾を追加。
オトリ込み9尾で第2ラウンドが終了。
そしていよいよ最後の第3ラウンド。
これまで低調な椿選手。
エリアCの左岸側の瀬は2選手がオトリを入れていないスポットが多い。
真っ先に突進しましたがアカ飛びしている石ばかりで流心にナワバリアユがおらずへチをねらってポツポツと拾い釣りです。
一方の小澤選手はBのエリア内を右往左往。
なかなか手応えを得られません。
那珂川は小石底の川相でアカが飛びやすい。
黒い石があっても地の石色でアカ付きのよい色ではないケースが多いのです。
限られた残りアカをねらって小澤選手は予選から一ヵ所にねらいを絞ると、時間を掛けて探る場面が目立ちました。
20分が経過しても小澤選手、岡崎選手ともに釣果なし。
とにかくアカ付きのよい場所をと小澤選手が見つけ出したのは右岸際の深み。
選手やギャラリーが並ぶ右岸土手下の岩に立ってオトリを放つと、間もなく目印が弾けました。
さらに2尾目も水面を割ります。
いずれも良型。
このとき上流の岡崎選手も2尾を掛けて追い上げていましたが、歓声と拍手が沸き起こるなか、小澤選手の3尾目がタモに吸い込まれました。
そして終了のホーンがセミしぐれと瀬音をかき消しました。
検量結果は椿選手7匹、岡崎選手11匹、そして小澤選手が13匹の最終コール。
小澤選手の2連覇、兄の小沢聡選手と並ぶ4度目の栄冠を手にして台風迫る中の大会は無事終了しました。
※文中敬称略


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