2015ダイワへらマスターズ全国決勝大会 in 筑波流源湖 レポート
今年、伝統のへらマスターズ全国決勝大会は、その舞台を茨城県「筑波流源湖」へと移す。
筑波流源湖と言えば、関東随一を誇る広大な水面積と、30尺に迫らんとする水深を擁する、まさにマスターズ決勝の舞台に相応しいビッグスケールなフィールドである。
当然、選手達の攻め方にバリエーションが増すのは必至。
また、今大会ではますますへら鮒釣り熱が高まっている隣国・韓国より2選手が参加するのも大きなトピック。
2015韓国へらマスターズを制したシン・ジョンピル選手と、堂々、関東A予選をあの天笠充選手に継ぐ2位で抜けてきた、パク・ジンガン選手だ。
二人とも本国では名の知られた実力派だけに、この2選手の同行も戦前から注目を集めた。
11月28日(土)。いよいよマスターズ初日がやってくる。
快晴。朝の気温は2℃。
毎年マスターズの頃から一気に冷え込みが強まるのだが、今年はそれが顕著。
暖冬ならではの汗ばむような陽気から一変、桟橋にびっしりと霜が降りるほどの冷気が夜明けの流源湖を包み込んだ。
24名の選手達は、前夜祭での抽選によって4名ずつ、AからFの6ブロックに振り分けられ、各ブロック内で1対1の総当たり戦を三試合行い、その勝ち点を競う。
マスターズ伝統の1対1の対戦方式。
その上で準決勝へと駒を進めることが出来るのは、各ブロックたったの1名のみ。実はこの予選リーグこそ、マスターズならではの見応えある熾烈なバトルなのだ。
試合前、緊張感溢れる表情の選手数名に話を聞いた。
試釣を重ねた選手達は、一様に「本命は池の規定ギリギリの浅ダナを攻めるメーターウドンセットで、チョウチンは、釣れないわけではないが、アタリ数はメーターに分がある」と口を揃えた。普段からチョウチンでの試合運びを得意とする選手以外は、どうやら大半の選手がメーターウドンセットを選択するようだ。
しかし、何人かの選手はロッドケースに超長竿を忍ばせているという。
底に着いているコンディション抜群の大型べらを狙う、超深場の底釣り狙いである。
アタリの数ではメーターウドンセットに及ばないものの、メーターの数枚分はあろうかという流源湖名物の大型べらが底で口を使っているというのだ。
しかし、競技時間は僅か2時間。その中で超長竿を振っての底釣りは、それなりのリスクをはらんでいるのは当然。
果たして、いったい何人の選手がトライすることになるのだろうか。
しかしこれもまた、流源湖ならでは。
非常に楽しみな試合前となった。
試合会場となったのは、広い流源湖の中の「一角」といって差し支えないであろう、中央に西桟橋が架かるエリア。
このエリアだけでも普通の管理釣り場ひとつ分はあろうかという広さ。
岸から中央に向かって徐々に深くなっており、浅いエリアでも21尺、そして深場では28尺でギリギリ底が取れるような超深場となっている。
7時30分、予選第1試合がスタートする。競技時間は全試合2時間。10時より第二試合、昼食休憩を挟んで13時30分より第三試合となる。
マスターズは全試合1対1の対戦制度を採用(準決勝のみ3名1人抜け)、とにかく相手に「勝つ」ことが最優先事項。
全勝(3勝)すれば文句無し。2勝1敗で並んだ場合は直接対戦時に勝った方、三すくみとなった場合は、その日釣った総重量で予選通過者を決定する。
白い息を吐きながら西桟橋両面に並んだ選手達。
前評判どおり、メーターウドンセットを選択した選手が圧倒的多数を占める。
竿の長さは10尺前後を選択する選手が目立つ。おそらくこの冷え込みによる食い渋りを想定し、やや長めを選んだのだろう。
勿論、相対する選手同士での「駆け引き」もあるはずだ。
そして注目の「超長竿」は、2選手が選択。
まず桟橋の最も手前に入った、昨年3位、Aグループ柴﨑誠選手が「HERA FX」22尺、両グルテンでの底釣りを選択。
そして桟橋中央、Bグループ武田輝由紀選手は、なんと「HERA FX」26尺を駆ってのペレ底で勝負に出た。
ギャラリーの視線は、試合開始前からこの2本のゴールドの長竿に集中する。
開始の合図の後、しばし静かな時間が流れる。やはりこの急激な冷え込みのせいか、大勢を占めるメーターセット組の出だしのウキの動きは鈍い。
「これなら長竿底釣りもある」。
ギャラリー席ではそんな言葉が飛び交う。
明けて11月29(日)、この日も朝から快晴。
気温は昨日同様低く、2℃。
しかし早朝から風が強く吹いていた前日に比べて風は弱く、絶好の釣り日和となった。
準決勝は敗れた選手達全員による(前年優勝の時田選手は規定により既にシード権を保持しているために欠場)翌年度地区大会決定戦シード権獲得戦と同時に、7時30分にスタート。準決勝の6名の選手は西桟橋事務所向きに、手前寄りAグループが廣部、岡田、柴﨑選手、Bグループ斉藤、シン、茂木選手…の順に並ぶ。
釣り座について底が取れれば底釣りをやると宣言していた柴﨑選手が24尺いっぱい、両グルテンの底釣り。
それ以外は9尺メーターウドンセット、という釣り方となった。
10時30分、いよいよ2015ダイワへらマスターズ覇者を決める決勝戦が筑波流源湖、西桟橋にて始まる。
運営スタッフ、報道、一般ギャラリー、そして惜しくも敗れた全ての選手達が対岸の観戦桟橋に集まり、桟橋に並んだ二人の選手に視線を注ぐ。 向かって左が岡田選手、右がシン選手。
筑波流源湖ならではの超長竿による大型べら狙いも会場を湧かせた今年のマスターズだったが、頂点を決める戦いは、メーターウドンセット対決となった。
しかも、史上初の「日韓対決」。
さらに面白いことに、この二人のスタイルが似ている、という点。
昨年の決勝戦は、超攻撃的な釣りの時田選手と、攻撃的ながらも要所要所では守りの釣りも織り交ぜた茂木選手という対称的な対決だったが、今年は二人とも、「静の釣り」を信条とする二人の対戦。
特に岡田選手は、終始丁寧に拾っていくようなスタイルを貫き、ここまで勝ち上がってきた。
12時30分、最後は岡田選手が空振ったところで試合終了。
岡田選手22枚16.55kg。シン選手16枚13.10kg。
コリアンタイフーンの猛威を、その冷静沈着な釣りで封じ込めた関西の岡田健司選手が、初の栄光を手にした。



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