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2013年1月17日

アオリイカの美味しい食べ方

アオリイカがイカの王様といわれるゆえんはいくつかあるがイチオシにしたいのは、やはりその味だ。
 
透明感のある身は歯を押し戻すほど弾力があって、それを無心で噛み砕いている内に襲ってくる身の甘さにきっと感激するはずだ。
 
この甘み成分を構成するのはグリシン、アラニン、プロリンなどのアミノ酸で、特にグリシンはデカくはなるが味はイマイチといわれるソデイカの100倍近くも含まれているという。
 
不思議なことにこの甘み成分は、背の青い魚と同じで、釣った日よりも翌日の方が飛躍的に量が増えて身が甘くなる。
 
それまでは新鮮なものほどうまいと思っていたから、眠い目をこすりながら釣ったその日に料理して食べていたのだ。
 
しかし、釣った日と翌日とを食べ比べてみると、確かに味が変わる。当日、料理したものは歯ごたえは抜群だがイマイチ甘みが足りない。
 
ところが翌日に食べてみたら、身が少し軟らかくなってムチッとした感触が強くなったが、甘みが倍増していたのだ。
 
うまいイカを飽食したいと思ったら、料理もさることながら上手に持ち帰ることだ。
 
スルメにしてもケンサキにしても、イカを締めて持ち帰る人は見たことがなかったが、アオリイカだけは、漁師も釣り人もなぜか締める。
 
特に漁師は、ステンレス製の細い針金でできた専用の締め具を持っていて、カラストンビと呼ばれる口から針金を通し一気に締める。
 
これをやると一瞬にしてアオリイカの体色が半透明に変わるから、素人でも締まったかどうかが一目で分かる。
 
こうして締めたイカは、新聞紙やタオルなどにくるみ、体を直接氷に当てないようにして持ち帰ることだ。
 
イカに限らず魚もそうだが、真水に当てすぎると身が水っぽくなりうま味成分が逃げてしまう。
 
だから、アオリイカをさばくときも薄い塩水を作り、その中で手で軽くなでるようにしながら汚れやヌルを落とす。もちろんさばき終わった身も真水で洗うのは御法度だ。
 
アオリイカの定番料理といえば造りだが、外套と呼ばれる胴の部分しか利用しない人が多い。が、大型のアオリイカの触腕(2本の長い手)も独特の歯ごたえと甘みがあってうまい。
 
手では薄皮がはぎにくいから、柳刃包丁で皮をそぐように切りあとは適当な大きさにぶつ切りにする。これをたまり醤油にちょぼっとだけ浸し、すするようにして食うのが通なのだ。
 
さらにいえば、アオリイカの身の中で珍味中の珍味といわれるのが、目の部分から上に内臓を包むようにのびている身だ。イカを釣ってもこの部分しか食べないという人もいるほど。
スミ袋など余分な内臓を取り去ると、この部分の身の内部に黄みががったミソと呼ばれるものだけが残る。これをつけたままやや薄味で2、3分煮込む。
 
できあがった煮つけは、ほんのり甘くて軟らかいに身とミソの味が絡まりあってえもいわれぬ感触。
 
なるほどこの部分しか食べないという人の気持ちが分かる。残ったゲソは、サッとゆでるか煮つけにするとよい。
 
そういえば丹後の伊根では、秋イカと呼ぶアオリイカの新子をイカ飯にする。これも身が軟らかくてうまい。
 
身と足を細かく刻み、しょうゆ味で米といっしょに炊き込む。材料はイカと米だけ、余分なものを入れると味が濁るそうな。