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2013年1月31日

PEラインって何だ?

巨魚釣り用のラインに始まって、今や船釣りでは当たり前、ジギングには欠かせないし、エギングやメバリングのほかに投げ釣り、アユの友釣り用超極細ラインなど、幅広く使われるようになったのがPEラインとかハイテクラインと呼ばれる釣り糸だ。
 
PEとはいったい何の略なのか、どうして作られるのかなど、まだ知られざる部分も多い。そこで、ハイテクラインと呼ばれる最新の繊維を少しばかり解剖してみよう。
 
釣り人の間でハイテクラインと呼ばれているものを大まかに分けると3つのタイプになる。ひとつはナイロン系のアラミド繊維と呼ばれるもので、アメリカのデュポン社と日本の東レが共同開発したケブラーと呼ばれる商品が代表的なもの。
 
2つ目はポリエステル系のポリアリレートと呼ばれる繊維でクラレがベクトランという商品名で売り出している。
 
3つ目がゲルスパンポリエチレン(超高分子量ポリエチレン)で、オランダのDSM社と東洋紡が共同開発したダイニーマ、三井化学のテクミロンなどが有名だ。この3つのハイテクラインの中で、瞬く間に釣りの世界を席巻してしまったのがゲルスパンポリエチレンとかスーパーPEとも呼ばれる繊維だ。
 
ちなみにPEとはポリエチレンの略で、ダイニーマやテクミロンなど商品名は違っても、素材そのものは同じである。
 
このPEラインは、ナイロン糸の3倍近い強度(引っ張り強度)があり、ほとんど伸びがなくてアタリが明確に出るし、コスレにも強く、軽くてしなやかで水に浮くなどが長所だ。
 
短所といえば糸の表面の滑りが非常によく、普通の結びでは抜けてしまうことと、糸がしなやか過ぎるために、バックラッシュを起こしやすく、竿先にも絡みやすいし、一度結ばれてしまったものはほどきにくいなどがある。
 
しかし、ナイロン糸の3倍近い強度は魅力的で、より細いラインでより大物を釣り上げることが出来るようになった功績は大きい。たとえば投げ釣りでは1・5号といった極細ラインが道糸に使えるため、飛距離が飛躍的に伸びたし、細くてもほとんど伸びがないので、確実に小さなシロギスのアタリを拾ってくれるなど、キャスターにとってはじつに魅力的なラインなのだ。また、船釣り用の道糸としてすっかり定着したし、水深が100㍍を超える深い海でのジギングも、PEラインがなければ実現しなかった釣りだ。
 
PE、つまりポリエチレンはわれわれの生活に密着した素材のひとつである。たとえばゴミ袋などに使われているポリ袋なども、ポリエチレンから作られたものだ。このようなポリ袋とPEラインがどう違うのか、通常のポリエチレン繊維は、メルストパンという熱で結晶性高分子を溶かし、押し出して固める方法で作られるが、これは分子同士のつながりが短く不ぞろいなので強度的に落ちる。
 
ところが超高分子量ポリエチレンは、分子量の大きいポリエチレンに溶剤を混ぜ、分子同士の絡み合いを整理し、きれいに並び替えてゲル状になったものを高倍率に延伸するゲルスパン製法で作られるため、非常に高強力の繊維が誕生するのだ。
 
強く、しなやかで、軽い。こんなPEラインをいかに上手に使いこなすかも釣り人の腕なのである。